優しくなれないデイバイデイ

永遠の下っ端気質。気持ちの上ではまだまだ新人気取りなのですが、立場上紛れもなくわたしも新人ではなくなり、何世代か後輩というものができるようになりました。

新人は可愛い。ひとつひとつ、全部に緊張して怯えているようで、守ってあげたくなるし、かまってあげたくなる。自分ができることが彼女らはできず、自分なんかに教えを乞う姿、すごく庇護欲が湧きます。自分が辛い思いをした分、彼女らには優しくしてあげたい。少なくとも、「あの先輩は安心して話しかけられる」枠に入っておきたい、という気持ちがありました。


ただ、わたしは忘れていました。自分も通った道。自分もかつてはそうだったはず。

そう、仕事がビックリするほど遅い。

1日、丸1日かけ、一つの入院を受けるのに22時近くまでかかる。その間、ナースコールは出なくていいよ、と全部わたしが取ったにも関わらず、時間内に終わらない。入院は朝11時前には来た。なのに、終わらない。

わたしは絶望した。仕事が、遅すぎる。

わたしはある程度仕事が早い方で、2時間あればまぁ受けられる。それは求めない。せめて、定時まで6時間あったのだから、それは終わらせて欲しかった。

その入院フォローについた先輩も丸1日それにかかりっきりでいや、お前はもっと周りのこともして働けよと内心怒り心頭だが、とりあえず人手も持っていかれてしまう。絶望しかなかった。おばさま方、軒並み仕事しませんよね。忙しいふりが皆様、すこぶるお得意です。新人フォローのみで1日が終わるの、軽傷の入院フォローだけで終わるの、羨ましい限りです。

新人の何倍も仕事を抱える羽目になり、自分まで忙しい時にそれをやられてしまうとさすがにイライラしてしまう。ただ、わたしはいびられエリート看護師。いびられた経験を深く心に刻みつけた女。(なおいびりは現在進行形、絶賛好評いびられ中!)悲しみの連鎖はここで断ち切る。負の歴史は繰り返さないためにも、おくびにも出さず、あくまで笑顔に、極力フランクに接するのだ。

ただ、あんなにカリカリしていたお局や先輩の気持ちがほんの少しわかってしまった。

そりゃあ腹も立つといったところだろうか。

この気持ちを理解してしまったことにより、わたしも彼女らのように「嫌な先輩」に一歩近付いてしまったようにも感じ、気分が重くなった。なろうと思いお局になるのではなく、年数を重ねることにより、少しずつ自分がお局化していくようで自分で自分が怖い。

よくあるじゃないですか、知らず知らずのうちに自分が化け物になっていくホラー。その気持ちです。いつか自分が嫌悪したお局にはならないように着実に新人の時の気持ちと経験、それに自我を保ちながら、わたしは生きていきたいと思った。