スキル:看護

働くっていったいなんなんだろう、と思う。

社会人になって数年ではあるものの、自立した大人として庇護されない立場となった。

一応退職も経験したことがある。がらっと変わったとしたら、お金に追われるようになってしまったことであろうか。定期代の支払い、携帯代の支払い、家に入れるお金、生活費その他諸々。学生であればまるっと親が肩代わりしてくれていた部分。

かつ、退職してしまえば、健康保険、雇用保険所得税、住民税、厚生年金など全て働いていない自分に降り掛かってしまう。ぞっとした。収入がないのだから、貯金を切り崩すしかない。必死にやりくりして貯めたお金に手を付けなくてはならないのは、貯金が趣味のわたしからすれば恐怖に他ならない。

必死に貯めていたのは自分が心配症だからというのもあるが、1か月、無理して頑張って働けば、1か月働かなくていい自分を作ることができる、という未来の自分を生かすための糧として貯蓄していたのだ。ある種の心の安寧を得るために貯めていた。

看護師業務をするにあたり、わたしはそれなりに無理をしている。

根暗な性格、話すのもまったく得意ではない。忍耐もなければ涙もろい。体力もない。

極めつけは生粋の不登校児だった。高校までろくに通学していなかった。あと1日休めば留年だったとも言われた。何故か、看護学校に入ってそれはなくなったが、本来経験していなかったことが無数にあるわたし。普通の人に比べたらレベルが低いのだ。

適正レベル50を求められる看護師労働に、レベル22くらいのわたしが挑んでいるようなもの。やはりボロが出るしガタもくる。適正レベルに達していないのに2つほど町を飛ばしてダンジョンに辿りついてしまったような感覚。しかしゲームのようには戻ることができない。経験値不足を誤魔化しながら暗中模索する日々。ものすごく疲弊する。だからといって今更したいこともなければ、逃げ出してしまう勇気もない。とりあえず、取った資格、存分に利用してやりたい気持ちはあるのだけれど。

生きるのには金が要る。ある程度の備えがなければなにかあったときにどうにもならない。看護師なんだからって、人助けに人生を捧げる必要ないし、看護師意識の高い、いかにも、な看護師でいる必要もないと思う。スキルアップもしたくなけりゃ別にいいと思う。わたしたちは生きるために看護師職業を選んだだけ。世間が求める看護師様になる必要はないと思う。わたしはなるつもりはないし。

資格は逃げないし消滅しない。経歴が汚れようとも、どこもかしこも看護師不足。

働く場所はどこにでもある、と思いながら、わたしも、あなたも、気楽にやっていきましょう。看護学校時代の教員に、看護師飽きたから百貨店の店員をしていた人もいる。教員をしていたのに、今年から在宅看護ががらっと変わる年だから、と颯爽と現場に帰っていった、自分の人生を謳歌していた人もいた。わたしたちもフットワーク軽めで、人生を生きていくためのスキルをひとつ、持っているという気持ちでやっていこう、と自分にも言い聞かせてみる。RPGのゲームをやる時に、初期選択の時に最初からヒーラーができる、くらいの感覚。そう思ったらなんだか気楽にならないだろうか。